【 高千穂シラス 2017施工事例コンテスト 優秀賞 】
【 平成27年度第30回 豊の国木造建築賞 優秀賞 (大分県知事賞) 】
母屋:新築 木造地上1階 + 納屋:改修
2015年7月 竣工

遠くを見る家 〜中津 6つの庭をもつ住まい〜

納屋・母屋の外観/南側より眺める。
屋根の水平線の向こうに、鳥たちの憩いの場でもある大木がそびえ立つ。
生まれ変わった納屋と新たに誕生した家が力強さと安らぎで地域に馴染んでいく。
母屋/南面外観。
母屋をひとつにする大屋根は、空へと向かってのびる。
格子の木製建具は、部屋の役割と呼応しながら庭との
つながりを高めている。
納屋・野趣の庭/南面外観。
再生した納屋の軒下をアプローチにしてゆっくりと母屋へと向かう。
納屋前面に広がるのは、旧居にあった祖父の代の庭石や石灯籠を再構築した野趣の庭。
納屋とアプローチ(広場)/南面外観。
下屋の軒を架けかえ延ばした
ことで生まれた空間は、内でも外でもない「中間の場」。
アプローチでありながら、寛ぎのスペースともなっている。
土間は湿度対策を施し、入口の建具も調整し再生した。
古いものとして壊してしまうことは簡単だが、納屋を残し再生することで
実用的な価値だけでなく、家や先祖の歴史を次世代に引き継ぐ役割をも持たせることができた。
母屋/南西の庭より。
雁行した深い軒とぬれ縁は、内と外の境界をあいまいにする。
自然に庭へと気持ちが向かい、家と庭とのいい関係が生まれている。
母屋(玄関)/
入口からアプローチを、ゆったりと心を整えるように母屋へと向かう。
納屋と母屋の間にできた中庭に目を向けると
紅葉を介して北へ視線も風も抜ける。
場所を変え組み直した石灯籠も、新たな木々とともに輝きはじめた。
玄関を前に木製引戸がそっとやさしく中へと迎えてくれる。
母屋・和室/
仏壇置き場と床の間まわりは、旧居の古材を再構築して設えた。
雪見障子の向こうには、旧居から引き継いだ納屋を愛でることができ、
時間の重みを背景にした中庭が、静かな時を運んでくる。
母屋・和室/
天井の竿縁も旧居のものを丁寧にはずして残し再利用した。
猿頬面の形に、見上げていたあの頃の天井を思い出す。
古材らは新たな空間にそっと馴染むように存在し、歴史を留めている。
ダイニング/リビングより眺める。
雁行した空間は互いに程よい距離感を保ちながら、ひとつの空間としても繋がりを感じる。
内と外、内と内の関係を丁寧にとらえ、
過ごす人の居心地を大切にしたプランの構築を心掛けた。
ホール・リビング・和室の簀戸・洗面コーナー/
簀戸は旧居の座敷で使っていたもの。
サイズを調整し、元からこうであったかのように自然な姿で再生。
また、季節に応じて交換できるよう和室内と合わせた障子(雪見)も作製。
室内から季節の変化が感じられる設えは、自然を楽しむことへと繋がってゆく。
飾り棚をあわせたTV台やホールの本棚、洗面台など、
空間と使い方にあわせたデザインのオリジナル造付家具は母屋の各所に配した。
ダイニング・キッチン/
家族の毎日とこれからを担っている食事の風景を生み出す場所。
キッチンは家族の輪の中心に。
繰り返される毎日の作業が心地よくいられるように、距離感も細部も家族らしさを取り込んだ。
キッチンから眺める景色や座る者との会話、ダイニングテーブルを皆で囲みながらの談笑など、
気持ちの良い空間で、何げない瞬間があたたかい風景となる。
ダイニング・リビング/格子越しに庭を見る。
内部空間に合わせて建具の高さに変化をもたせている。
室内での過ごし方を外部に影響されないように、と願って生まれたスケール(寸法)が、
内と外との関係を良好にし、よりいっそう住まいを豊かにする。
室・ロフト/
窓からは、水田の緑や麦稲の黄金、農耕の景色を愛でることができ、
勾配天井の先の窓には深い緑がのぞく。
自分に還っていく場として、巣箱のようであると良いと願ってデザインした空間は、
自然をそばに感じさせ、くるまれているような感覚をくれる場である。
はしごを登る姿は大きな木によじ登るようで、
ロフトを支える旧居の小屋梁に座るとまるで枝に腰かけているよう。
大きな木のような空間で「家」と遊んでいるような感覚になる。
ダイニング・キッチン・洗面コーナー(天窓)/
造付家具、置き家具ともにすべて、この家の雰囲気に合わせ、
また建て主ご家族のお話をじっくりとうかがいながらデザインし作製。
ご家族の使い方についてはもちろんのこと、
「これからここで過ごす日々」までもデザインや手触りに反映させている。
また置き家具は、デザインしたものを家具作家へ製作依頼。
こうして生まれた家具らが「未来の日々」をともに過ごす存在として
家と家族の関係をとりもち、つないでいる。
吐き出し窓や格子戸、天窓がそれぞれの優しさで、この空間を穏やかに包んでいる。
納屋・母屋の外観/西側より眺める。
庭も住宅の設計と同時にプランニング。
庭の特徴に合わせて、これまでの庭木を整理した。親族が守り楽しみにしてきた樹木は残しながら。
新たな樹木と、すべてを残すことができた庭石や石灯籠、古瓦を見切りに大らかに広がる芝庭、
静かな時間を運んでくる中庭、扱いやすい大きさの菜園スペース…再構築して生まれ変わった庭に、
引き継いだ樹木たちが活き活きとした姿で、新たに誕生した家を輝かせてくれている。
母屋(ぬれ縁)・収穫の庭(南の庭)/
木製建具を開け放つと、
気持ちは自然と芝の庭へ、そして田畑のある景色へ、
遠くは市民に愛される八面山へと向かってゆく。
すべての

暮らしのひとこま】
ダイニング・リビング/冬のある朝
前夜の楽しいひととき。
差し込む朝日がその余韻をやさしく包み込む。
それぞれの場所を輝かせながら、一日の始まりにエールをくれる。
ダイニング・ぬれ縁/庭・その先の景色を眺める
あたたかな朝日をたくさんに浴び、
庭の夜露のきらめきと、田畑や遠くに八面山をのぞみながら
始まったばかりの今日を感じる。
キッチン(シンク&カップボードエリア)・洗面コーナー(天窓)/
使う方の身長に合わせて製作したオリジナルキッチン。
じっくりと気持ちをうかがいながらこの場所に立つ姿を想像して…
毎日の繰り返しが違和感ないよう、動作や寸法をひとつひとつ構築し、
使いやすさやシンプルさが「楽しさ」までも生むように、と願って
誕生したキッチン空間。
キッチンの横にはちょっとした家事作業もできる洗面コーナーを設けた。
家族の忙しい朝・晩を支え、穏やかなひとときもつくってくれる場所。
柔らかな色合いのキッチンと洗面・家事スペースが、
天窓からのおだやかな光に包まれてやさしく繋がる。
ダイニング/朝食の風景
八面山がくっきりと特徴のある姿を見せる朝。
地域の人たちが手をかけ育ててきた田畑が
遠くまで見通せる食卓で会話も弾む。
鮮やかな柑橘を身にまといはじめた果樹たちが
冬の訪れに彩りを添えて、あたたかな気持ちを運んでくれる。
この穏やかな風景が続いてきたことへの感謝と願いも込めて
「いただきます!」
ダイニング・リビング/昼の姿(深秋の頃)
紅葉がちょうど見頃を迎えた11月半ば。
どんよりとした曇り空でスタートしたこの日。
お昼前には雲ひとつない青空が広がり、
ぱーっと差し込んできた陽射しがぽかぽかと心地よい。
紅葉狩りに出かけてみようか、と会話のはずむ休日。
ダイニング・リビング/夜の姿(初冬の頃)
冷たい風が吹く季節には、室内であたたかく過ごす楽しみがやってくる。
木のやさしさを、香りと手触り、部屋を包む灯りで
よりいっそう感じる夜。
ダイニング・本棚コーナー/クリスマスツリーを迎えて
師走を前に、家が誕生して初めての暮れを迎える準備が始まる。
どんなクリスマスにしようかな、と作戦会議中。
そわそわワクワク♪
ダイニング・リビング/冬のある夜
今日の出来事をゆっくりと思い出す心地よい時間。
1日のにぎわいをそっと包み込む空間で、
「おつかれさま」と「おやすみなさい」に
やさしく くるまれて静かな夜が深まっていく。
母屋/南西の庭より
祖父が残した庭石をちりばめて再構築した野趣の庭より母屋を眺める。
大きな石にのぼったり、腰かけたり…
庭を楽しむなかで、想い出と会話し 新しい記憶を紡いでる。
家と ぬれ縁と 庭と 家族と。
よりいっそう 仲良くなっていく。
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